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うらわの民の金融blog

徒然なるままに約1000文字…金融兵士→コンサル戦士による金融系戯言録

実は三井住友はりそなより得をした?~関西3地銀統合から考える両者の戦略とは~

 

こんにちは

浦和の民です。

 

本日は新FG発足の話題。

  

遅ればせながらのご案内になりますが、11月14日に㈱関西みらいフィナンシャルグループが設立されました。

 「株式会社関西みらいフィナンシャルグループ」設立のお知らせ|ニュースリリース|りそなホールディングス

 

「公的資金を完済したりそなの経営メッセージだ」とか「これから地銀統合に向けた号砲だ」とかなんとか騒がれていますが、この統合についてまとめてみたいと思います。

 

FGにぶら下がる3行の概要

 

お嫁に出した側のSMBC傘下の2行。第二地銀ですが、2行合わせるとそれなりの規模にはなります。一般企業でいうところの売上高に相当する業務粗利益が約1,000憶円、従業員数約4,500人です。

株式会社関西アーバン銀行

業務粗利益:638億円

本支店+出張所:155拠点

従業員数:2,429人

筆頭株主:三井住友FG 60.15%

 

 

株式会社みなと銀行

業務粗利益:441億円

本支店+出張所:106ヵ店(兵庫101ヵ店、大阪4ヵ店、東京1ヵ店)

従業員数:2,282人

筆頭株主:三井住友FG 46.42%

 

 

 

株式会社近畿大阪銀行

貰い受ける側のりそなHD・近畿大阪銀行は第一地銀ですが、規模間的には上記2行と大差はありません。

 

業務粗利益:433億円

本支店+出張所:118ヵ店(大阪106ヵ店、兵庫8ヵ店、奈良2ヵ店、京都、愛知)

従業員数:2,124人

筆頭株主:りそなHD 100%

 

 

統合の裏に見えるバーゼル規制対応

 

今回の統合にはバーゼル規制の自己資本比率維持の観点があると考えられます。

バーゼル規制では自己資本比率を、国際的に業務を行う銀行「国際統一基準行」(国内では16行)は8%以上、国内のみで業務を行う銀行「国内基準行」は4%以上に維持しなければなりません。

実は今回ステークホルダーとして登場する三井住友FGは「国際統一基準行」、りそなHDは「国内基準行」なのです

今回の統合によって、SMBCのバーゼル規制対応に与えるマイナスの影響が軽減され、将来的には全株式の売却・譲渡の出口を作ることができたSMBCにとってかなりおいしい取引だったと言えそうです。

 

SMBCは身軽に、一方のりそなは逆行・・・

 もともと三井住友FGはさくら、住友銀行時代から関西に厚い店舗網を持っていた為、今回の統合によってグループ間での共食いを防ぐ効果も期待できます。以前の記事に記載したようにメガバンク各行は業務・人員削減に本気を出しています。

 

urawanotami.com

それに対してりそなはかなり難しいオペレーションを強いられると考えます。

理由は三井住友FGの逆です。

りそなHDも前身の大和銀行が関西圏に強く、地域に厚い店舗網を持っており、近畿大阪との共食いが既に発生していたと聞きます。

ここに他FGの関西アーバンがさらに入ってくるとなるとカオス以外の何物でもありません。

 

じゃあどうするのがよい?

となると、対応策として一番に考え付くのは大規模な店舗統廃合・人員削減となりますが、実行できるかについては疑問が残ります

今回、「スーパーリージョナルバンク(筆者はメガ地銀と呼んでいますが…)」と銘打った統合を行うのに反し、古くから個人中小企業が愛着のある支店をどんどん閉じることはできないと考えます。

となると膨張したリソースをうまく活用し、収益力を向上する戦略を打ち出せるか、ここが肝だと思います。それが打ち出せないとなるとより一層『三井住友の勝ち、りそなの負け」が鮮明に表れてしまうことでしょう。

 

 

ゆるキャラグランプリ企業部門1位を取った勢いで、がんばれりそな。

 

本日はこれまで。

 

 

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