こんにちは
うらわの民です。
直近もおかげさまで複数のプロジェクトに参画しているため忙しく、まとまった休みが欲しいと思う時期に入ってきております。
本日は表題の件。
忙しくなっている原因の一つとして、直近でFATF対日相互審査の結果が公表され国内の動きがあわただしくなっており、その影響をまともに受けている状況です。
ざっと目を通したが、思ったよりひどい結果では無かった。
— うらわの民 (@urawanotami1) 2021年8月30日
銀行等の金融機関に影響がありそうなのは、実質的支配者の確認の強化くらい? https://t.co/bX1DnS3itd
ここでは、指摘された内容の一部を確認し、その有効策を少し考えていきたいと思います。
なお、FATF審査については以前ざっくり説明したので、興味がありましたら読んでいただけますと幸いです。
1.銀行がさらに強化しなければならないこと
今回、法令等の整備状況(TC)ではNPOが不適合、最低点はなかったものの有効性(IO)では4段階中下から2番目が8項目とまだまだ改善すべき点が多く、「重点フォローアップ国」(実質不合格)となりました。
様々な点が指摘されておりましたが、一番銀行として辛い内容は「継続的顧客管理」だと筆者は考えています。
「継続的顧客管理」は、顧客にマネロン・テロ資金供与のリスク評価を付与し、債務者格付のように定期的に評価替えを実施の上、そのリスクに応じた低減措置、管理を実施することと理解いただければよいと思います。
もうすでに大手金融機関を中心に、顧客のリスク格付、定期的な情報収集(手紙、窓口)の実施を始めています。
2.実際対応は可能なのか
ここで一番手間となってくることは、1年から3年に1回程度「顧客に情報を確認する」という作業が発生することと思われます。
全員が全員、時期になったらアプリから確認作業を実施してくれるのなら、大した手間にはなりませんが、やれ「不審な手紙が来た」、やれ「なんで個人情報を聞かれなければならないんだ」等の問い合わせが営業店に寄せられるのは目に見えています。
顧客を深く理解することは営業の基本ではありますが、大変申し上げにくいことに大半は収益貢献度の低い顧客ばかりが対象になりますので、正直管理の手間が増えるだけです。
※この辺り、本来は事業者に丸投げではなく、国側もマイナンバーとの紐付けによる一元化、少なくとも世間への周知・広報等を積極的に行ってほしいものです。
3.いっそ外に任せるのが得策では?
各銀行が専門部署を作って上記のような作業をするのは、収益環境の悪化によって、構造的な変革を迫られている銀行業態全体にとって負債になりかねません。
特に「スマートフォンを使った情報の確認」、「店頭での情報の確認」は既存のチャネルで対応可能ですが、eKYCによる写真撮影は意外にコツが必要であったり、店頭に訪問する時間がなかったりと、その中間を埋めるようなサービスが必要と感じています。
そんな中で筆者としてはセブン銀行のATMに期待しています。
セブン銀行はATMを高機能化し、マイナンバーや本人確認書類の確認をATMで利用できるようにしています。
コンビニATMであれば、銀行に訪問するよりもハードルはぐっと下がりますし、本人確認書類のチェックも所定の場所に置くだけなので、操作のコツも不要となります。
偽造等を防止する観点で、今後郵送による確認はなくなっていくと思いますので、その代替手段として高機能ATMはラストワンマイルを埋めるソリューションになり得ると考えています。
また、上記ソリューションでは、確認、記録をセブン銀行側が担当、委託した銀行側はデジタル化されたデータを受け取ることができますので、データの整理・突合等の前捌き作業が不要になります。
今後FATFから指摘された継続的な顧客管理を実施していく中で、銀行によっては数千、数万の口座の確認が同時に走りますので、全てのプロセスを自前でやるのではなく、「書類の確認」+「情報の電子化」を外部に委託するのが現実的なところではないでしょうか?
セブン銀行としてはATMを活用した銀行事務処理の省力化サービスを推進してきたいようですので、将来的には店頭ATMの隣にセブンの高機能ATMが並ぶ、、、なんてこともあるかもしれません。
長くなりましたが、本日はこれまで。
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以下、関連記事です。
もう銀行が自前でATMやること自体も再考した方がいいかもしれません。
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