こんにちは。
うらわの民です。
またひっそりと銀行のサービスが幕を閉じました。
結局何も起きなかったな。
— うらわの民 (@urawanotami1) 2021年10月13日
銀行の『金融サービス』でなにかうまくいった事例を最近ほとんどみない。
>三菱UFJ銀行、12月20日に「MUFG Wallet」のサービスを終了 https://t.co/6o9iShOqF4
正直MUFG Walletは、非接触決済サービスが乱立している中でなぜローンチしたのか全く分からないサービスだったので、「まだ生きていたんだ。。。」くらいにしか思いませんでした。
他にもみずほの「JcoinPay」や銀行共同「Money Tap」等の送金サービスは近年は見る影もなく、「みんなの銀行」も走り出したは良いものの二の矢、三の矢がないため失速気味といったところです。
うまくいかない原因について、自分が銀行にいた際の経験等を基になんとなく推測いたします。
減点方式の評価体系
最も大きい要因は評価体系にあると考えます。
ご存じの通り銀行は減点方式の文化であり、その文化が評価にも如実に反映されています。
よく新規サービスは100本打って1本あたりが出ればいい方だとも言われておりますが、銀行では99本の失敗を許容できる文化がありません。
これは収益力低下による投資余力の減少も原因かもしれませんが、新しいビジネスを推進するための予算的、時間的な余裕がなく、思い切ったサービス開発ができない状況となっています。
圧倒的に遅い意思決定
次の要因として挙げられるのは意思決定のスピードです。
金融インフラを安定的に稼動させるため強固なガバナンス態勢を有することの弊害とも言えますが、多くの利害関係人の調整(会議体、稟議)が必要となります。結果として、最初は尖っていた商品・サービスも時間がたつにつれて、各所への配慮、上司の意見等によって角が取れ、競争力のない「丸いサービス」になってしまいます。
悪しき自前主義
最後になりますが、なまじ大量の人材を有するため自組織内だけで人材を調達しようという考え方が働き、外部との協働が念頭にありません。
これも文化的な側面ではありますが、新卒から銀行に勤め、適切なキャリアを経た人間の発言力が強く、外部から採用された人材、コストセンターとみなされるシステム人材の意見は軽視されがちです。
その結果、「新卒から銀行に勤めてきた人」の価値観でしか物事を判断できず、多様化する社会のニーズ、トレンドとは異なるサービスが世に出てきてしまいます。
また、新興企業の中には豊富な顧客基盤を持つ銀行と一緒にサービスを考えたい企業も存在しますが、上記のような文化に辟易し、途中で立ち消えになるケースが散見されます。結果として、銀行とのサービス検討にアレルギーを持つ企業も出てしまう程です。
では、どうすれば。。。
つきつめれば、上記のような文化・思想を変えるというのが結論です。
ただ、目標の達成には、人材を全て入れ替えるような荒治療が必要と思われますので、短期的な施策として「社会から求められている伝統的な銀行の価値」を見つめなおすのはいかがでしょうか?
見つめなおした結果、ひょっとしたら若い人からは「何も求められていない」ので、高齢者向けに特化した新サービスを企画する方が社会のためになるかもしれない、という結論になるかもしれません。
そうなるとサービス開発の方向性は「デジタルウォレットの提供」や「スマホの送金サービスの開発」ではなく、「バックオフィスの徹底的な合理化」や「高齢者宅で支店サービスが提供できる端末」等になるのかもしれません。
劇的に社会は変動していますので、今一度「自社が社会に提供すべき価値」を見直した上で、新規サービス開発を検討していただきたいと思います。
本日はこれまで。
過去新規サービスについて言及した記事を貼っておきます。