こんばんは。
浦和の民です。
今年も残り数日ですが、読者様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
本日は表題の件について。
先日以下言及したように、画期的な取り組みなようで諸々の問題点を抱えている制度と感じましたので、つらつらと書きたいと思います。
取引先もほしいかね?
2~3年で戻る季節労働者が。
>関西みらい銀、新卒全員出向 来春入社以降: 日本経済新聞 https://t.co/HCVjSNHQJ4— 浦和の民 (@urawanotami1) 2020年12月8日
記事中では銀行側のメリットとして、「銀行員は顧客のニーズを探す力がまだ弱いが、外部勤務を経験することで身につく」というコメントを社長が出しています。仮にそのメリットがあったとしても多くのマイナスがあるのではないかと考えています。
銀行員、出向・赴任の成果が大きくぶれる問題
銀行の若手の出向や海外赴任制度は「彼らの将来何かのためになる…」という漠然とした会社の期待から行われている点が制度上大きな問題だと考えます。
地方銀行等の実情としてよく聞くのが、手を挙げてor会社から任命されて海外赴任したにも関わらず、帰任後に支店の中小零細企業を担当させられ、直近海外で培った知識・スキルが活かされないという実情です。
この問題の原因は、出向者・赴任者のキャリアや得てきてもらいたい知識・スキルに対して上司・組織がコミットしないことであると筆者は考えます。その結果として、出向先・赴任先での成果は個人頼みとなり、組織として得られる成果がぶれる原因となっています。
今回の取り組みでも恐らく「とりあえず行ってきて、何を学んでくるかは君に任せる」という出向になることが想定されますので、冒頭述べたようなメリットを全員が得ることは難しいと考えます。
増加する若手の退職リスク問題
先で言及したように上司、組織がキャリア・成果へのコミットができればよいのですが、出向先で断絶したキャリアを歩んだ上げく、帰任したのちに関連業務に就けない場合は、30代前半までの若手・中堅社員を手放すリスクが増加します。
(特に外の企業に行った人は顕著ではないでしょうか。。。)
受け入れ側でも育成に手が回らない問題
2~3年で帰任してしまう人間に対して、受け入れ先が果たしてどれほどコアな部分に触れさせることができるか?という点についても考慮が必要です。
実際、地方銀行のグループ会社ではプロパー、若手を育成するプログラムが十分に整備されているところは少ないため、結局「作業」が上達しただけで、知識スキルが身につかずに帰任することも多いと思います。
施策を成功させるためには?
恐らく多くの問題を抱えた中、始動するこの施策を成功させるためには、上司・組織が出向者・出向先に対して、個別にコミットしていくことが重要と考えます。
それを実現するためには出向制度の設計だけではなく、年次の人事評価制度を見直し、より職員を深く知ることができる制度に変える必要があると考えます。
合併してすぐの銀行が21年以降からの導入することはなかなかチャレンジングだと思いますが、あまりいい結果は望めないのではないか、と筆者は考えています。
本日はこれまで。
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銀行の人材育成についての雑感です。
人事評価について書いた記事です。