こんにちは。うらわの民です
年度末に差し掛かり金融機関も繁忙期に差し掛かりつつあるかと思います。
そんな中またかんぽがやってくれました。
酷い話だな笑
— うらわの民 (@urawanotami1) 2022年2月27日
>かんぽ、マネロン対策怠る 法人向け契約760件 https://t.co/xO3LtY2ucr @Sankei_newsより
郵便局での不正販売に加えて、犯収法上の法令違反の疑いまで出てきてしまっており、リスク管理部門の有効性検証能力がないことをさらに露呈してしまったような気がします。
さて、通常法人の『本人確認』は上記の登記情報の提示に加え、顧客を管理するための実質的支配者の確認を取るとされていますが、銀行を初めとした金融機関ではその確認を基本は申告ベースで実施していました。
※実質的支配者が分からない方はMUFJ様の解説を読んでください。
銀行等での負担を減らすために、本年の1月末から実質的支配者の確認のための新しい制度が始まりましたが、その制度がいまいちなので簡単にご紹介できればと思います。
実質的支配者リスト制度の開始
今まで法務局で取得可能な履歴事項証明書等では代表者と役員の住所氏名のみが参照可能であり、実質的支配者を確認するための持ち分比率等の記載はありませんでした。
そこで、1月からはその不足する情報記載したリストを企業が法務局に登録の上、写しの交付を受けることが可能となりました。
法務省:実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
ただ、ここに記載されている情報について、完全性が保証されているかというとそうでもありません。
制度の問題点
まず、第一にこの登録の対象は資本多数決法人「株式会社」、「特例有限会社」のみという点です。
大半の法人は株式会社を選択するケースが多いからだと思いますが、設立費用が安い合同・合資、支配関係やら何やらが不明瞭となりがちなNPO法人については対象外です。
次に、この実質的支配者リスト制度の登録、更新について法人側に義務はありません。もっと言ってしまえば、情報を最新化する必要もなければ、虚偽を記載することによる直接的な罰則も整備されていません。
(※別の法律で罰せられる可能性はあります)
この辺り欧米各国では登録・更新は義務化されている国が多く、最新化を怠った場合は、その日数に応じて罰金が科せられるなど、法人側を法律で縛っています。ただ、今回始まった日本の制度にその規定はありません。
個人的な結論
上記で挙げたような制度的に実質的支配者情報の完全性を担保する仕組みが整っていないことから、全てを信頼することはできないものと考えます。
金融機関によって、対応がマチマチであれば逆に法人側に負担をかけることになりかねません。
最大手であるMUFJですら『(任意)利用』としており、提供当初から存在意義が揺らいでいる感が否めません。
https://www.bk.mufg.jp/ippan/law/kakunin_henkou.html
恐らく経済界から大きな反発を受け、軟着陸を選んだのだと推察されますが、当該分野で国際的なスタンダードから乖離が見られることから、日本の金融システムの信頼性を損なう可能性もあります。
グローバル化が進む中で、今までの性善説的な価値基準では金融犯罪を防ぐことは難しくなると想定されますので、公助の観点から有意義な制度に早期に変更がなされることを願ってやみません。
本日はこれまで。
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