LIFE LOG(浦和の民のblog)

うらわの民の金融blog

徒然なるままに約1000文字…金融兵士→コンサル戦士による金融系戯言録

みんなの銀行始まる~地方銀行がDXを進めるためのモデルケースとなるか?~

こんにちは

 

うらわの民です。

 

おかげさまでGW明けてからも忙しくしており、なかなかゆっくりinput、outputする時間がなくタイムマネジメントに課題を感じております。

 

さて本日は表題の件、5月下旬リリースとずーっとアナウンスしてきたみんなの銀行がついにリリースされました。

筆者も一応口座開設しました。

 

  

いまさら地方銀行がデジタル専業の銀行を?という疑問もあるかと思いますが、従来型の銀行がDXを推進するためには、これくらいの劇薬が必要と当方も考えていますので、自分の頭の整理がてらつらつらと記載したいと思います。

 

(おそらくDXで飯食っているコンサル各位は既知の情報だと思いますが。。。)

 

 

1.銀行業態におけるDXとは?

最近バズワード化しているDXですが、単に『デジタル化による業務効率化』のことを言っているわけではありません。

多くの銀行ではDXに興味関心を持ちつつも、ペーパレス化やRPA導入等の個別業務のデジタル化に留まっている例が散見されます。

 

そもそもDXの定義ですが、経産省の「DXレポート2 中間とりまとめ」によると以下のイメージで整理されいています。

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

 

f:id:urwts:20210530103534p:plain

 

単に個別業務のデジタル化はデジタライゼーションのことであり、DXではありません。

 

今回のみんなの銀行の取り組みは、「ミレニアル世代への価値提供から考えたバンキング 」であり、銀行業態におけるDX実現の先進的な取り組みと言えます。

 

2.銀行でDXを進めるための課題

 

今回福岡銀行という九州の地方銀行が実現したデジタルバンクですが、 同様の取り組みを他の銀行が実施するためにはたくさんの課題が存在しています。

その中でも大きな要因として2つ取り上げます。

システムの課題

歴史が作り上げてきた、重い大きな勘定系システムはDX化の足を引っ張っています。

以前、別記事でも取り上げましたが、銀行システムは外部との接点が少ない、堅牢な構造であることが今までは常識とされてきました。

時代は流れ、顧客価値を向上するためにPDCAを高速に回していくことが求められる中で、既存の銀行システムはそのような取り組みには大変不向きです。

なお、筆者は既存のモノリシック(一枚板)のシステムを更改していった先に、『アプリで完結するマイクロサービスなバンキングシステム』という着点にはなかなか到達できないと考えています。

 

人事の課題

採用・評価制度等人事の問題もかなり大きいと考えます。

既存の銀行で目指す像とされていた「総合力に秀でた支店長」ですが、顧客価値を向上させていくデジタルバンキングで重要な人材は、優れた「データアナリスト」、「デザイナー」等のいわゆるデジタル人材です。

「総合力に秀でた支店長」は銀行の転職マーケットで、同じような給与テーブルを使えば引っ張ってくることはできるかもしれませんが、「データアナリスト」、「デザイナー」は銀行以外の転職マーケットで引っ張ってくる必要があるため、既存の給与テーブルを使っていては採用が難しい状況となっています。

 

もちろんUFJ等ジョブ型採用を宣言する銀行も増えてきていますが、プロパー社員至上主義、年功序列文化が残る中で、どれほど組織に浸透するかは疑問が残るところです

 

www.sankeibiz.jp

 

3.外で作って、持ち帰るアプローチ

 

では、システムや人事の問題、さらには文化的な問題をどう解決するか?と考えたときに今回のFFGの取り組みは有効と考えます。

 

それは『既存銀行の外で作って、持ち帰るアプローチ』です。

以下、みんなの銀行事業説明会資料から抜粋いたします。

https://www.fukuoka-fg.com/investorimage/data/20210118_ir.pdf

 

f:id:urwts:20210530141922p:plain

スライドにあるように、「みんなの銀行」でチャレンジしたDXの取り組み、(人材・組織・風土、システム、サービスの各種改革)をFFGに還元し、全体のDXへつなげていこうというコンセプトを打ち出しています。

 

銀行の意思決定では「過去・他社事例」がかなり有効ですので、FG内の別組織でDXの成功体験を積み、その取り組みから得られる教訓等をフィードバックする仕組みです。

 

個人的には最も日本の組織にあったアプローチと考えていますので、どのような成果が出るかしばらく見てみたいと思います。

 

正直あまり目新しい機能がないように思いますが。。。

 

******

 

最後にこの仕掛けをしたのはかの「アクセンチュア」ですので、やはり日本のDXといえばチュアなんだなぁと感心したところです。

 

本日はこれまで。

 

過去、システムについて簡単に触れた記事を参考に貼っておきます。

 

www.urawanotami.com

 

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