こんにちは。
緊急事態宣言は昨日で解除となりましたが、引き続き在宅勤務は継続となっているうらわの民です。
本日は表題の件について。
『コロナにかかった時に一時金の保険が出るサービスがあるんです』って、保険会社が訪問販売しに来た。
— うらわの民 (@urawanotami1) 2021年3月12日
在宅勤務の私にとって、一番感染リスクを高めているのは、不特定多数の顧客に訪問している保険営業さんであることから丁重にお断りした。
金融の営業はいつまでこんな非効率な営業をするのか。
私が以前勤務していた銀行でもいわゆる『新規先リスト』なるものが存在し、「1日にリスト先を最低5軒回れ」、「新規先でどれくらい話を聞いてもらえたのか?」等管理職から毎日管理されていました。
業界から転職してから4年以上たちますが、金融の現場ではまだ『新規先リスト』の潰し込みが継続されているようです。
そこでなぜ、そんな状況が続いているのかついての原因と、未来について考えていきたいと思います。
プッシュ型営業の限界
営業は大きくプッシュ型とプル型の二つの方式に分類できると考えています。
両者について大雑把に以下のようなものと理解しています。
・プッシュ型:売りたい商品・サービスを顧客に当て込んでいく手法(一本釣り)
・プル型:顧客の興味・関心・ニーズをきっかけに企業側へ働きかけを検知し、そのニーズに沿った商品サービスを提供する手法(置き網)
商品・サービスが十分に普及していない経済成長期においては、プッシュ型の営業は有効でした。ただ、経済が成長し、商品・サービスを入手するのが苦にならなくなった時代においては、今いらないものを押し付けられるプッシュ型の営業は不要なものとなりつつあります。
なぜプッシュ型営業を続けるのか?
上記のような前提がある中でなぜ、金融機関はなぜプッシュ型営業を続けるのでしょうか?
大きく2つ要因があると考えます。
いつまでも差別化されない商品・サービス
金融機関は規制産業であるため、提供できる商品サービスも法律の枠内で定義していく必要があります。そのため、新しい商品・サービスが発売されたところですぐ模倣されてしまい、あっという間にコモディティ化してしまいます。
データ主導の顧客分析が不十分
金融機関は顧客を十分に理解できていません。
銀行は口座の取引履歴を「数字の変動」くらいにしか考えていませんし、保険会社は「契約ベース」で保険を管理しており、顧客の情報がバラバラと様々なシステムで管理されているケースが散見されます。
保有するデータを十分に分析できていない、そもそもデータを分析できる状況にない等によって、データ主導の顧客分析が実施できていません。
その結果、先述の商品サービスの開発にもつながりますが、そもそも顧客が「ぼやけている」ため大衆向けの商品サービスしか提供できないといった問題も生じています。

今後日本でもFinTech,InsurTechが台頭する?
このまま金融機関が、コモディティ化された商品・サービスをプッシュ型営業で売り続けていく場合、プル型に強いFinTech、InsurTechに勝機が生まれると考えられます。
欧州のMonzoやN26のようにひたすらデータ分析とUX改善サイクルを回し、顧客利便性を高めるチャレンジャーバンクや、米国のLemonadeのように行動経済学やデザインに強みを持つInsurTechのように、デジタルに洗練されたサービスは、将来的に日本のデジタルネイティブも受け入れ始めると想定されます。
日本の金融機関においては高度成長時代の成功体験はニューノーマルへの変化を機にさっぱりと切り、営業担当が確度の著しく低い飛び込み営業から開放されることを願ってやみません。
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長くなりましたが、本日はこれまで。
関係する記事を以下に貼り付けておきます。
緊急事態宣言は解除されますが、ニューノーマルにおいてホントに渉外活動は必要でしょうか?
そもそも対面で行うサービス自体を見直すいい機会だと思います