LIFE LOG(浦和の民のblog)

うらわの民の金融blog

徒然なるままに約1000文字…金融兵士→コンサル戦士による金融系戯言録

「みずほの調査報告書」アンケート等調査部分を読んでの雑感

こんばんは。

 

うらわの民です。

 

今回は表題の件、もう色んな所で解説がなされておりますので今更感もありますが、特にP116のアンケート、ホットラインに連絡があった箇所が手触り感があるので、眺めた雑感をつらつらと書いていきたいと思います。

 

 

 

デジタル・フォレンジック審査等の結果概要抜粋

 

①MINORIリリース前後の体制縮小、費用削減

開発に投資を割きすぎた結果、トータルコストを意識しすぎて保守を薄くしたということだと推測されます。どうやら「MINORIの開発」は経営課題として認識されていたようですが、「安定運用」というところは抜け落ちてしまったようです。

 

②MINORIの構築設計に携わった有識者が異動・退職でいなくなった

③MINORI自体の規模が非常に大きく、様々なサブシステムに分割され、それぞれが複雑な機能・制約を有しているため網羅的に把握できている人材がいない

銀行のシステム部門はそこから人事異動となった場合も、通常リスク管理部署に行くくらいだと思いますので、退職された方が多かったのだと推測いたします。

報告書内でもドキュメントの作成・引き継ぎの不十分さを指摘されており、見切りを付けてささっと辞めていかれたかたが多かったのだと思われます。

 

 

④障害発生後の対応における組織力の弱さ

⑤ATM取り込み仕様の詳細を知らない、障害対応に必要な仕組みが整備されていない

上記2点については、報告書内の別の箇所で触れられていますが、インシデントを評価する際もかなり低めに影響度を見積もるなど、常に最悪の事象が起きる可能性が考慮されていなかったようです。

前回障害の振り返りや、平時におけるシミュレーションが完全に足りなかったのだと思います。

 

⑥お客様第一ではなく、効率化最優先・経営層の以降第一。IT部門・事務部門が軽視されている

他の銀行でも該当することですが、トップラインの低下が顕著になってから、法人営業で数字を上げた人間の発言力が増しています。

システムのアーキテクチャを理解し、大規模PJを頑張って回している人材は営業の人員よりも評価されない結果として、人材流出が止まらないことが伺えます。②、③にも影響する部分と考えます。

 

⑦現場の意見が本部に上がらない

経営陣への忖度、内向け姿勢、前例踏襲する管理職、事なかれ主義、支店への情報出し渋り、障害発生時にお客様に積極的に説明しないような指示 等が記載されています。

おそらく以前の障害対応が悪い方に働いてしまったようです。いわゆる「ヒヤリ、ハッと」的な事故の予兆等がうまく組織として集約できないような雰囲気が全社を支配しており、この体質を改善するには相当な力がいると思われます。

 

他人事と捉えることなかれ

確かにみずほは規模も大きく特殊ですが、筆者の感覚からすると十分他の銀行でも起こりうる内容と考えます。

技術的な対処が不足していたことはもちろんですが、 その原因となったのは全社の問題意識や風土といったソフトの部分であり、どのようなシステム形態をとっている金融機関にも当てはまる問題です。

また、専門人員が退職する、事務部・システム部が軽視されるというのは業界全体の問題なような気もしています。

他の金融機関様におかれましても、「またみずほがやったよ」っと笑っているばかりではなく、自社でも起こりうる内容ではないか等を今一度精査いただくことがよいと筆者は考えます。

 

本日はこれまで。

 

これも皮肉的な本になってしまいましたね。。。 

amzn.to

 

 

関連する記事を貼っておきます。

 

DXの流れの中で大きなレガシーシステムは不要かもしれません。

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みずほもRPAをガンガン推進いていた時期もありましたが、今はそれどころじゃないですね。

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