こんにちは
浦和の民です。
もう多くの方が言及されているの今更感はありますが、給与のデジタルマネーについて、ユーザーからみた問題について、つらつらと書いていきます。
1.変わらず「預金」は銀行にしかできない問題
最初に、「預金」は預金取扱金融機関にしかできません。
本年、資金移動は3分類に分けられ、1種では100万円以上の送金ができるようになります。そこまで行くと銀行同様に送金ができるようになりますが、彼らは「資金移動事業者」ですので、顧客からの預り金の目的は「資金移動」でなくてはなりません。
したがって資金移動目的外の資金については払い出しが行われてしまいます。
また、2種(送金額を100万円以下に制限)についても100万を超える金額について滞留制限が課せられます。
ですので、お金を「預ける、貯める」という目的であれば、引き続き銀行が圧倒的に優位であることに変わりはありません。
2.チャージに手数料がかかる資金移動サービスがほとんどない問題
PayPay、LINEPay、d払い、Kyash・・・街中で決済に利用可能なメジャーな資金移動事業者の中で、銀行チャージに手数料がかかる事業者はあるでしょうか?
思いつく限りではないです。
そんな状況ですので、わざわざ労働者が会社に申請して
「口座入金で20万円、残りをPayPayへ」
なんて実施しなくても、月に1回同じことをマニュアルでやればいいわけです。
もし自身の給与受取銀行がチャージ対応していなかったとしても、住信SBIネット銀行で「自動入金」と「自動振込」をかませれば、対応している銀行に自動で資金移動することができます。
したがって、手数料的な面でも直接支払われることのメリットは薄そうです。
3.日本で口座を持てない人が少ない問題
以下、経済産業省の公表資料から引用します。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/kappu_hambai/pdf/020_05_00.pdf
「銀行口座保有率」を確認すると、米国では10%の人が口座を保有していませんが、日本では5%と半数になっています。
本データは成人に限定されていると思いますが、日本で口座を持たない5%のうち、「大学生等そもそも口座を作る気がない人」の他に、「反社会的勢力」、「口座売買した人」、「(在留資格等によって)就労が認められていない外国人」等、持てないことに理由がある人であると想定されます。
金融包摂的な考えはもちろん重要ですが、金融インフラに参加してほしくない人が入ってくるリスクは極力下げるためにはやむをえないのでは?と個人的には考えます。
4.結論
筆者の結論は、解禁による影響はほとんどないと考えます。
消費者のマネーフローの始点を誘導することでキャッシュレス決済の普及を促進したい狙いもあるのでしょうが、であればもっと直接的に、他国が実施したようなキャッシュレス決済額の所得控除等を実施すればよいと考えます。
もちろん、やってみることは重要ですが、給与のデジタルマネーを利用するペルソナとそのジャーニーが十分に設計できていないため、大きく話題になることはないでしょう。
何かいいサービスが出たらその際また考察したいと思います。
本日はこれまで。