こんにちは。
年度末を迎え、銀行の皆様におかれましてはもうやることもなく、次年度に向けて頭が切り替わり始めていると思います。
本日は表題の件。
会計ソフトが前後に登場する金融機能を取り込んで、顧客利便性をあげている。
— うらわの民 (@urawanotami1) 2023年3月5日
銀行は手を打たなくていいのかしらね?
>マネフォ、企業の送金プラットフォーム提供へ Fintech戦略をアップデート https://t.co/DuOk2yfc9u
【エンベデッド・ファイナンスの衝撃: すべての企業は金融サービス企業になる/城田 真琴】読了。
— うらわの民 (@urawanotami1) 2023年3月2日
組込型金融について。
古くはカーディーラーのカーローンのように、購買の場面に金融が存在していた。… → https://t.co/GGZLsnWBGB #bookmeter
最近、金融機能の一部を切り出して、サービスに組み込んで提供する組込型金融(エンベデッド・ファイナンス)のニュースが増えているような気がします。
それに関して思うところをつらつらと書きます。
金融は手段であり目的は別
銀行に在籍しているときは、融資や金融商品を顧客に提供することがミッションとなるため、それが目的のように感じていました。
ただ、本来の金融の役割は、例えばものを買ったり、資産を増やしたりするといった、何かの目的を実現するための手段であるはずです。
組込型金融は購買やサービス提供が行われる場面から途切れることなく(或いは消費者に意識させることなく)金融を提供する形態です。
例えば、コンビニで欲しいものを手に取ってそのまま店を出れば決済が完了していたり、月々で設定された決済額を超えた支払を行う場合に自動で後払い決済に変わっていたり、といったような目的を達成する際の、余計なワンアクションを減らすようなものが挙げられます。
スマートフォンをはじめとしたデバイスや通信の発展によって、消費者はより便利な体験を求めているため、UXを改善する観点からも必須の考え方になりつつあります。
組込型金融から生まれる影響
そういった金融機能が発展すると銀行にとってどのような影響があるでしょうか?
最も影響が大きいと考えられるのは表題の通り、土管化です。
土管化とは、土管がただ液体や気体を流すために存在するかのように、お金を流す機能だけが残り、入口や出口は他の事業者に抑えられてしまう状況を比喩しています。
つまり、今までは「お金がどこかから入って、どこへ出て行ったか?」がなんとなく追えていたものが、取引の摘要欄に「△△Pay」というサービス名だけが並び、「なぜお金が入ってきて、何に使われたか?」が全く追えなくなってしまいます。
ChatGPTが世の中を変えつつありますが、今後AIがマーケティング等を主導していく中において、取引に関わる情報量が減ることはサービスの向上に大きなマイナスとなるでしょう。
戦略を考える必要あり
そんな中で銀行には大きく2つの選択肢があると思います。
1つ目は、プラットフォーマーがリーチできないローカル経済圏を取りに行く方法です。
都心以外の地域でもPayPay等の普及率は高いものの、その地域コミュニティに最適化したスーパーアプリを地方銀行が主導して作ることはできるかもしれません。広域での勝利はプラットフォーマーに譲り、局所での勝利を得る感じですかね。
2つ目は、土管を受け入れてプラットフォーマーに積極的に使ってもらう方法です。
これは、住信SBIやセブン銀行等が取ろうとしていますが、預金やATMといった特定の金融機能を外部事業者に開放して積極的に利用してもらっています。その対価として利用料をいただいています。基本的に店舗等を持たないネット系銀行が取る戦術ですが、既存の銀行も一等地に店舗を持っていますから、インフラという点では店舗も提供可能な資産、機能になるかと思います。
いずれにせよ、このまま何もしなければ、利用チャネルの変化に伴い、淡々と顧客接点を奪われていってしまいますので、もう少し土管化への対抗策を考えていった方が良いと思います。
長くなりましたが本日はこれまで。
次年度も健康に頑張りましょう。
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