LIFE LOG(浦和の民のblog)

うらわの民の金融blog

徒然なるままに約1000文字…金融兵士→コンサル戦士による金融系戯言録

正確な決算ができないスルガ銀行~魔法の貸倒引当金~

こんにちは。

 

ご無沙汰してしまって申し訳ありません。

 

本日はこちらの件。

 

www.j-cast.com

 

自分的には異例でもなんでもなかったのですが、やはり大幅修正してきました。

 

www.urawanotami.com

 

 

1.今回の大幅修正の原因は何か?

今回の大幅修正の原因は貸倒引当金の増加です。

 

以下にスルガ銀行の修正後決算短信を貼りますのでご覧になっていただければと思います。

https://www.surugabank.co.jp/surugabank/investors/ir/h30/pdf/h30_4_0606.pdf

 

前回の決算短信で連結損益計算書上、400億円だった貸倒引当金繰入額が200億円増加しています。

 

因みに貸倒引当金とは、噛み砕いて説明すると、『お客さんに貸したお金がもしかしたら返ってこないかも知れないから、返ってこないであろう可能性にあわせて、お金を別の財布によけておこう』というような項目です。

 

言ってしまえば費用の先出し、平準化です。

 

その費用が200億も新たに増加したということは、当初見積もっていたものよりも影響が大きかったということがいえます。

 

「ノートと電卓(経理)ノートと電卓(経理)」のフリー写真素材を拡大

 

2.ただ、数字のマジックにだまされてはいけない

ニュースを見ると、「なんだ、それでも利益出てるからいいじゃん?」という意見が書いてありましたが、それは違うと筆者は考えます。

 

先ほど、貸倒引当金を説明した際に、『返ってこないであろう可能性にあわせて』と記載しました。

その可能性を算出する際に重要となるのは、過去の実績と担保価値です。

ただし、そのどちらも今回のスルガ銀行の件では当てにならないと考えます。

 

まず、過去の実績は役に立ちません。

なぜならば、今回のスマートデイズは2,000億の融資に影響がある事案であることと、入り口審査の段階で事業性をあまり評価していないと想定されるため、過去の収益不動産貸出の貸倒傾向と相関が見出しにくいと考えられます。

 

続いて、担保評価も実勢ではないと考えます。

前述の通り入り口審査の段階で事業性があまり評価されていないと考えられるため、投資不動産としての評価額(市場流通価格)は想定より低いはずです。 

全ての不動産について鑑定評価をとっていれば別ですが、この短期間で終わっているとは考えにくいので、恐らく保全カバー率は毀損されていると思われます。

 

 

上記2つの要素を考えると、あくまでとりあえず出された決算であり、恐らく黒字決算についても甘い見通しの上に立っていると考えられます。

 

 

3.まとめ

以上を考えると、今回出された決算も実態を明らかにした正確な決算ではないと考えられます。

 

この流れが不動産投資資金抑制の流れに繋がるようであれば、地銀やハウスメーカー等様々な企業に影響が出ると考えられるため、引き続き成り行きを注視したいと思います。

 

本日はこれまで。